Kindle出版の無料の範囲と、制作費が発生する五工程を分けます。担当メモに自作・相談・外注を一工程だけ置き、依頼前に自分が判断することも確認します。

「Kindle出版は無料なのに、どうして表紙や校正の料金が出てくるの?」

KDPの前払い利用料と、誰かへ頼む制作費を分けると考えやすくなります。五工程の担当メモを使い、自作・相談・外注を一工程だけ仮置きします。

Kindle出版は無料?KDP公式が示す範囲

Amazon KDPの公式ヘルプには、電子書籍とペーパーバックを無料でセルフ出版できると書かれています。

ここでいう「無料」は、KDPを使って本を出版するための利用料についての話です。

原稿、表紙、入稿できるファイルは、著者側で用意します。自分で作れば外部への支払いを抑えられますし、人へ依頼したり有料ツールを使ったりすれば、その分の費用が発生します。

ペーパーバックも前払いの在庫費用なしで出版できますが、注文を受けて印刷されたときの印刷コストはロイヤリティから差し引かれます。印刷コストは、出版前に外注先へ払う制作費とは別の費用です。

「無料で出版できる」と「制作に一円もかからない」は、同じ意味ではありません。

お金がかかる場所は、出版ボタンより制作の担当

初めての電子書籍なら、費用を考える前に作業を五つへ分けます。

  1. 原稿:何を書くか決め、本文を作る
  2. 校正・編集:誤字や話の食い違い、読みにくい箇所を見直す
  3. 表紙:Amazon上で表示する表紙データを用意する
  4. データ準備:KDPが受け付ける形式へ原稿を整える
  5. 登録・確認:書籍情報を入力し、公開前に表示を確認する

この分け方は、KDP公式の必須工程をそのまま列挙したものではありません。初めての人が「どこで費用が発生しそうか」を見るための制作上の整理です。

それぞれに、次のどれかを仮置きします。

  • 自分でやる
  • 一部だけ相談する
  • 人へ依頼する
  • まだ決めない

金額が先ではなく、担当が先。

誰が何をするか決まっていない状態では、ほかの人の総額を見ても自分の予算にはなりません。

必須費用と任意費用を混ぜない

支出は、少なくとも二つに分けて見ます。

KDPの利用に関する費用

前述のとおり、KDPでは電子書籍とペーパーバックを無料でセルフ出版できます。

販売価格とロイヤリティの条件は、仮価格を決める確認へ。制作の支払いは、以下の作業ごとに考えます。

制作のために選ぶ費用

次のような支出は、制作方法によって変わります。

  • 校正や編集を依頼する
  • 表紙制作を依頼する
  • 原稿データの整形や変換を依頼する
  • 有料のソフトや素材を使う

自分の時間を空けたい。不得意な作業を補いたい。第三者の目で確認したい。そうした目的があるときに選ぶ費用です。

自作・相談・外注を決める三つの判断軸

その作業に使える時間はあるか

費用を抑えて自作するなら、作業を覚えて試す時間が要ります。

まとまった時間を取りにくい工程は、一部相談や外注の候補です。反対に、今後も自分で続けたい工程なら、最初の一冊で触っておく意味があります。

試したあとも手が止まるか

触る前から「自分には無理」と決めなくて大丈夫です。

一度試して、何が分からないかを一行にします。「表紙の文字配置を決められない」「変換後の崩れを直せない」のように詰まり方が見えれば、相談する範囲も狭くできます。

最後のOKを自分で出せるか

人へ頼んでも、出版されるのは自分の名前がついた本です。

依頼したものを見て、内容や方向が合っているか判断する役割までは手放せません。完成物を見て判断できるかも、依頼前の確認項目です。見る場所が分からなければ、作業の前に相談する方法も選べます。

五分で作る「制作担当メモ」

紙かメモアプリに、次の表を作ります。

工程 今の担当 分からないこと
原稿 自分でやる/相談/依頼/未定
校正・編集 自分でやる/相談/依頼/未定
表紙 自分でやる/相談/依頼/未定
データ準備 自分でやる/相談/依頼/未定
登録・確認 自分でやる/相談/依頼/未定

初めに埋めるのは、一工程で十分です。気持ちがいちばんはっきりしている工程から埋めます。

記入例

※以下は書き方を示す架空例で、本人・受講生事例ではありません。

工程 今の担当 分からないこと
表紙 一部だけ相談する 自作案の文字が小さすぎないか見てほしい

この一行が決まれば、次に探すのは「Kindle出版の平均費用」ではなく、「表紙案の確認だけを頼める方法」です。調べる範囲が一気に狭くなります。

無料と有料を取り違えやすい二つの例

「無料で出せるなら全部自作する」と「お金を払えば全部任せられる」。僕なら、どちらも費用を決める基準にはしません。

たとえば、文章は自分で見直せるけれど、小さな表紙で主題が読めるかは判断に迷う。説明用の架空例ですが、この条件なら、五工程のすべてを外注するより、表紙の相談を候補にします。

依頼前に知りたいのは、修正の範囲、納品形式、使う素材の条件です。その確認ができてから見積もりを比べたい。費用を出す理由が「高い本に見せたい」だけなら、まだ頼む工程が決まっていません。

一方、自作を選ぶ工程には、作る時間と確認する時間を予定へ入れます。外部への支払いがなくても、作業が消えるわけではないからです。

僕が先に残すのは、合計金額より「この作業を誰が担当し、完成物の何を自分が確かめるか」です。先ほどの担当メモへ、一工程だけ仮置きしてみてください。

総額を探す前に、一工程だけ担当を決める

Kindle出版の費用は、ほかの人の総額を見ても決まりません。KDPの利用料と、任意の制作費を分け、自分がどの工程を持つかで変わるからです。

今日は五工程のうち一つを選び、「自分でやる」「一部だけ相談する」「依頼する」「未定」のどれかを書いてください。

次の作業を選ぶときは、Kindle本の価格はいくらにする?ロイヤリティ条件と仮価格の決め方を使えます。出版の工程を確認したい場合は、Kindle出版の始め方を使ってください。