Kindle本の読者像は、年齢や職業だけでは決まりません。過去の自分が困った一日を四行で切り取り、その人へ最初に渡す言葉を考える方法です。
「30代会社員」と決めたのに、第一章で何を話せばいいか分からない。
人物の属性を増やす前に、その本が必要になった一場面を決めてみてください。過去の自分が困った一日を四行で切り取り、最初に渡す言葉を考えます。
Kindle本の読者像は「30代会社員」だけで決めない
30代会社員。副業に興味がある。家族と暮らしている。
こうした属性は材料になりますが、同じ条件でも困りごとは違います。
- 副業を始めたい
- 始めたけれど売上が出ない
- 仕事が忙しく時間を作れない
- 家族へ相談できず、一人で調べている
属性だけでは、どの説明から始めるかを選べません。
以下の場面と、後に出てくる四行は説明用の架空例です。
平日の22時。子どもが寝たあとに副業サイトを見たが、選び方が分からず、比較記事だけ読んでその日を終えた。
この人へ、いきなり「副業で月収を伸ばす方法」を渡しても距離があります。先に必要なのは、今夜一つを選ぶ基準かもしれません。
読者像は、精密な人物紹介を作るためではなく、何を省き、どこから説明するかを決めるために使います。
過去の自分なら、想像だけで埋めにくい
読者設定の欄に「向上心のある会社員」と書いても、僕ならそこで人物設定を増やしません。最初の章で何を渡すかを選べないからです。
代わりに、過去の自分が調べものをしていた一日へ戻ります。何を検索し、どの言葉が分からず、何を比べても決められなかったか。そのうち一つをメモする。
たとえば「コンセプトを決めよう」と読んでも、何を紙へ書けばいいか分からなかったなら、最初に渡したいのは定義を増やす説明より、空欄を埋めた一例です。今なら使える専門用語も、最初の一行で使うかは選び直せます。
記憶で空欄を埋めきらなくて大丈夫。思い出せない会話を作るより、「この言葉で止まった」だけでも残す方を僕は選びます。次の四行で切り取るのは、詳しい人物紹介ではなく、その一日の困りごとです。
過去の自分は、あくまで仮説にする
自分が困ったことと、今の読者の状況は同じとは限りません。過去の自分から作るのは仮の読者像です。
四行を書いたあと、検索結果、実際の相談で聞いた言葉、読者から届いた質問などと比べて修正します。記憶が曖昧な箇所は空欄か仮説として残し、実際の相談や質問がない場合は、あるように書きません。
過去の一日を四行で切り取る
まず思い出したいのは、この本の答えを知りたかった一日です。人生全体を振り返る必要はありません。
1|いつ、どこで困っていた?
時間と場所も一緒に。たとえば「日曜の夜、机で応募書類を書こうとしたとき」です。
日曜の夜、自宅の机で転職サイトを見ながら、応募先を決められずにいた。
2|その直前に何を見聞きした?
検索結果、SNS、上司の言葉、家族との会話などです。
同年代の転職成功談を読み、「自分には語れる実績がない」と感じた。
3|頭の中で何とつぶやいた?
きれいな悩みの名前ではなく、当時の短い内心へ戻します。
また職歴の一貫性を聞かれたら、何も答えられない。
4|読んだ直後、何が一つできれば助かる?
最後の一行は、読み終えて手を動かす場所です。人生のゴールより、応募先を一社選ぶくらいの動作へ。
バラバラな職歴から、共通して任されてきたことを一つ書ける。
四行をつないだものが、今回の仮の読者像です。
この本は、転職サイトで応募先を選べず、職歴のバラバラさを不安に思っている人が、自分の経験にある共通点を一つ書き出すための本。
年齢や職業だけを置いたときより、目次へ入れる内容が見えやすくなります。
読者像がぼやける例と、場面へ寄せた例
NG例
副業を始めたい30〜40代の会社員向け。
間違いではありません。ただ、どこで困っているかが分からず、入門知識を全部入れやすくなります。
書き換え例
副業に興味はあるが、比較記事を読むだけで一つを選べず、日曜の夜をまた情報収集で終えている会社員向け。
後者なら、最初に渡したい内容は「副業市場の歴史」ではなさそうです。
選択肢を減らす基準。今の生活で使える時間。今週試す一つ。
場面が見えると、説明の取捨選択ができます。
読者を絞ることは、ほかの人を追い出すことではありません。入口をはっきりさせることです。年齢や職業が少し違っても、似た場面にいる人は「自分に関係がある」と判断できます。
その読者像で目次へ進めるか
- 本を読む直前の時間・場所・行動が浮かぶ
- 読者が使いそうな短い内心がある
- 読後の変化が、今日か今週の行動になっている
- 自分の過去だけを全読者の事実にしていない
- 後から実際の検索語や相談の言葉と比べられる
完璧な人物設定は不要です。この一場面があれば、次は「その人をどこへ運ぶ目次か」を考えられます。
読者の人生ではなく、入口の一場面を決める
誰向けか決まらないと、すべての初心者へ全部説明したくなります。すると本が大きくなり、書く側も読む側も迷います。
過去の自分の一日を選び、何を見て、何を思い、読後に何が一つできれば助かるかを書く。今日の作業はそこまでです。
読者像ができたら、読者の変化から目次を作る四マスへ進み、最初の章で何を渡すかを置いてみてください。
思い出すのは、過去の自分が困っていた一日だけ。「いつ、どこで、何に困っていた?」の一行から書いてみてください。
次の作業を選ぶときは、Kindle本の目次が作れないとき|読後の変化から章の役割を決めるを使えます。出版の工程を確認したい場合は、Kindle出版の始め方を使ってください。