「自己分析って、就活のときにやるやつでしょ?」
正直、そう思っていました。30代に入って、会社で10年以上働いて。ある夜、残業後にコンビニのイートインで缶コーヒーを飲みながら、ふと思ったんです。
「俺って、何者なんだろう?」
それなりの経験は積んできた。辛かったことも、乗り越えてきたことも、人よりちょっと得意なことも、ある気がする。でも、いざ「あなたの話を聞かせてください」となったとき、何も出てこない。白紙のまま固まってしまう。
あの感覚、覚えがある人いませんか?
僕はKindle出版の支援をしていますが、受講生のほぼ全員が最初に言うセリフは同じです。「私なんかに書けることがあるんでしょうか」と。
あります。絶対に。ただ、発掘できていないだけです。
今日は、30代・40代の会社員が「自分の物語」を掘り起こすための、10のセルフインタビューを紹介します。Googleで「自己分析 質問」と検索すると100問・105問の質問集がずらっと出てきますが、全部就活生向け。あなたの原体験を資産に変えるための問いは、ほとんど存在しません。だから今日、ここでやります。
就活の自己分析と「原体験発掘」は、目的が根本的に違う
就活の自己分析は「会社に選ばれるため」のものです。志望動機を作り、強みを言語化して、面接官に刺さるパッケージを組み立てる。これはこれで大切な作業ですが、今のあなたには関係ない。
あなたに必要なのは、もっと別の目的の自己分析です。
「自分の経験を、誰かの役に立てるコンテンツ資産にするため」の発掘作業。
この二つは、出発点が全然違います。就活は「相手の基準に自分を合わせる」。でも原体験発掘は「自分の中にあるものを、相手の言葉に翻訳する」。主語が逆なんです。
ぶっちゃけ言うと、30代・40代の会社員が持っている経験の密度は、就活生の比じゃない。ただ、「これって普通じゃないの?」という思い込みが邪魔をして、自分の財産に気づけていないだけなんですよね。
原体験を発掘する10のセルフインタビュー
これから紹介する10の質問は、僕がKindle出版の受講生たちと向き合う中で磨き上げてきた「発掘プロトコル」です。地・水・火という3つのフレームワークに沿って構成しています。
紙でもスマホのメモでも、実際に手を動かしながら答えてください。頭の中だけで考えると、必ず「答えが出ない」という罠にはまります。書くことで、眠っていた記憶が言葉になってきます。
【水】情熱の質問——あなたが時間を忘れて没入するもの(3問)
「水」は、あなたの熱源です。理屈じゃなく、気づいたら時間が消えている分野。これがコンテンツの「面白さ」の種になります。
- Q1. YoutubeやNetflixの視聴履歴、本棚、Amazonの購入履歴——一番多いジャンルは何ですか?(無意識の投資先に、情熱の正体が宿っています)
- Q2. お酒を飲みながら、気づいたら熱く語っていた話のテーマは?(場が温まると出てくる本音こそ、あなたの「好き」の核心です)
- Q3. 「それ、もっと教えて」と他の人から言われたことがある話題は何ですか?(他者が求めているのに、自分では「普通」だと思っているもの)
【火】経験・才能の質問——あなたが実際に乗り越えてきたもの(4問)
「火」は、説得力の源です。頑張ったことより、乗り越えたことを掘ります。ここに「他の誰にも書けない一次情報」が眠っています。
- Q4. 人生で「死にそうになるほど辛かったけど、なんとか乗り越えた」体験は?(失恋、リストラ、病気、借金、人間関係の崩壊——どんなエピソードでも構いません)
- Q5. 職場で「こいつに聞けばわかる」と頼まれることは何ですか?(あなたが当たり前にできていて、周りが困っていること)
- Q6. 「えっ、そんなこともできるの?」と驚かれた習慣や行動は?(自分では「普通」だと思っていること。ここに無意識の強みが隠れています)
- Q7. あの辛い時期を乗り越えられた理由は、突き詰めると何だと思いますか?(「なんとかなった」じゃなく、具体的な行動・考え方・出会い)
【地】信念の質問——あなたが絶対に譲れないもの(3問)
「地」は、コンテンツの背骨です。「おかしい」と感じる怒りや違和感の中に、あなただけの切り口があります。これがないと、どんなに質の高い情報を提供しても「どこかで見た話」になってしまいます。
- Q8. SNSやニュースを見て「それは違う」「そんな見方もあるのか」と心がざわついたのは、どんなテーマのとき?
- Q9. 過去の自分に大声で叫びたい「一言」は何ですか?(10年前、5年前の自分が本当に必要としていたアドバイス)
- Q10. 自分が「絶対になりたくない大人」の姿は?(反面教師の中に、あなたの価値観の輪郭が見えてきます)
「普通の会社員」が必ずはまる3つの落とし穴
この10問に答えようとすると、たいてい3つのパターンで詰まります。先に言っておきますね。
落とし穴1:「大きな実績がないといけない」という思い込み
起業して成功した、甲子園に出た、難関資格を取った——そういう「わかりやすい武勇伝」がないとコンテンツにできないと思っていませんか?
違います。読者が求めているのは「自分と近いレベルの人が、どうやって壁を越えたか」という話です。スーパーヒーローの話より、ちょっと先を歩いている人の体験談の方が、ずっと刺さる。
落とし穴2:「ネガティブな経験は使えない」という誤解
借金、うつ、離婚、失業。こういう経験を「恥ずかしいから出せない」と隠す人が多いです。でも実際には、この種の話こそが最も読まれます。
僕が出会ってきた中で、最も読者を動かしたKindle本は、著者の最もボロボロだった時期を正直に書いた本でした。傷の深さが、共感の深さになる。これが現実です。
落とし穴3:「答えが完璧に見つかってから始めよう」という完璧主義
「もう少し考えてから」「答えがはっきりしてから」——この思考が、永遠に発信を先送りにします。
ぼんやりとした輪郭でいい。「これかもしれない」くらいの感覚で動き出すことが、本当の自己分析の始まりです。動きながら解像度が上がっていく。それが普通の流れです。
10の答えを「コンテンツの種」に変換する方法
インタビューで掘り起こした答えは、そのままではまだ「原石」です。ここからどう磨くか。
一番シンプルな変換式を教えます。
「かつて〇〇(痛み)に苦しんでいた自分が、△△(経験・発見)を通じて、□□(変化)した話」
この構造に当てはめるだけで、SNSの投稿になります。Kindle本の核心になります。講座のコンセプトになります。
Q4の答え(辛い経験)が〇〇に入り、Q7の答え(乗り越えた理由)が△△に入り、今のあなたの状態が□□に入る。それだけで、他の誰にも書けないコンテンツの種が完成します。
使い方は後から決めていい。まず「発掘」さえできれば、活用方法はいくらでも出てきます。
まとめ:60点の答えで、今日から動き出す
改めて言います。完璧な自己分析なんて、存在しません。
10年かけて積み上げてきた経験は、30分のセルフインタビューで全部は言語化できない。でも、それでいい。
60点の答えでいいんです。「これかな?」という感触があれば、もう動き出せます。発信してみて、読者の反応を見て、また掘り下げる。その繰り返しの中で、原体験の輪郭がだんだん鮮明になっていきます。
今日紹介した10の質問を、スマホのメモに保存して、今夜お風呂に入りながら一つだけ答えてみてください。「Q4。人生でいちばん辛かった体験は?」
そこから、あなたのコンテンツが始まります。
あなたの話を、世界はまだ聞いていない。それだけは確かです。

